リーダーシップ現象研究 その3『条件適応論』

先週はリーダーシップ現象研究の1つとして『行動論』を紹介しました(リーダーシップ現象研究 その2『行動論』はこちら:http://learnaboutleadership.com/2016/04/04/actiontheory/)今回は、リーダーシップ現象研究の紹介その3ということで『条件適応論』がどのように研究され整理されていったのか、また『条件適応論』に分類される諸理論と、それら理論が現代のリーダーシップ現象研究とどのようにつながり、影響しているのかについて紹介します。

 

 

『条件適応論』とは?

 1960年代終わり頃から発展してきたリーダーシップ現象研究で、リーダーシップは状況に応じて取るべきスタイルが異なるという理論です。「全ての状況に適応されうる唯一最善の普遍的なリーダーシップ・スタイルは存在しない」という考えのもとに成り立っているため、『特性論』や『行動論』とは異なり、リーダーの行動特性だけでなく何らかの追加条件も研究すべきという仮説に基づいています。

 

 

『条件適応論』の代表的な理論

 全ての状況に適応されうる唯一最善の普遍的なリーダーシップ・スタイルは存在しない、という考えに基づき、リーダーの特性や行動と状況の関係を明らかにしようとした『条件適応論』。今回はその中から2つ、ハウスの『パス・ゴール理論』とP・ハーシーとK・H・ブランチャードの『SL理論』を紹介します。

 

『パス・ゴール理論』/ハウス

1971年にオハイオ州立大学の研究の流れをくむハウスらが提唱した条件適応論。まず、リーダーシップの有効性を「リーダーのとる行動によって、部下が動機づけられるかどうかによる」とし、部下が動機づけられるには「リーダーが、部下がうまく目的・成果(ゴール)に到達するためにはどのような道(パス)をたどれば良いのかを把握した上で、有効な働きかけをすることが必要」としました。また、リーダーが達成したいゴールに向け、部下に有効なパス(道筋)を示す際には、2つの条件(「環境的な条件」と「部下の個人的な特性」)を念頭に置かなければならないとしています。この2つの条件の組み合わせにより、そのときに有効となるリーダー行動を指示型・支援型・達成型・参加型の4つに分類しました。

 

SL理論』/P・ハーシーとKH・ブランチャード

SLはSituational Leadership の略で、1977年にP・ハーシーとK・H・ブランチャードが提唱した条件適応論です。有効なリーダーシップスタイルは部下の成熟度で異なるとし、業務指示の必要性とそれを支援するコミュニケーションの必要性の2つの要素によってリーダーシップが変わると捉えています。まず、仕事志向(指示的行動をとる)と人間志向(共労的行動をとる)の2軸で4象限に分け、それぞれの状況でリーダーシップの有効性を高めるにはどうすべきかを示しました。部下の成熟度が低い順に、有効なリーダーシップは次のように規定されるとしています;教示的リーダーシップ→説得的リーダーシップ→参加的リーダーシップ→委任的リーダーシップ。

 

 

『条件適応論』と今

 『条件適応論』は、マネジリアル・グリッド理論、PM理論などの『行動論』で捉えたリーダーたちが組織を牽引しても、必ずしも好業績を残すわけではない、とされたことから研究が始まりました。『条件適応論』が主流となってから現代においてもなお、新たに研究、提唱されるリーダーシップ現象研究のほとんどが条件適応論を基本にしていると言われています。

 

 

今回はリーダーシップの変遷から『条件適応論』を紹介しました。次回は『カリスマ型・変革型リーダーシップ』について紹介します。

 

当記事執筆担当:曽我部

 

■参考文献、サイト

  • “リーダーシップ条件適応論”, INVENIO LEADERSHIP INSIGHT, http://leadershipinsight.jp/dictionary/words/contingency_theory.html, (参照 2016-4-10)
  • “コンティンジェンシー理論”, Camp Network, http://capm-network.com/?tag=コンティンジェンシー理論
  • “パス・ゴール理論: 状況に合わせて、部下を動機づける行動をとるべし”, GLOBIS 知見録, http://globis.jp/article/2237, (参照 2016-4-10)
  • “パス・ゴール理論”, INVENIO LEADERSHIP INSIGHT, http://leadershipinsight.jp/dictionary/words/pathgoal_theory_of_leadership.html, (参照 2016-4-10)
  • “SL理論”, INVENIO LEADERSHIP INSIGHT, http://leadershipinsight.jp/dictionary/words/slsituational_leadership_theor.html, (参照 2016-4-10)
  • 藤田聰, “リーダーシップは部下の習熟度で変化させる”, All About, http://allabout.co.jp/gm/gc/313285/ (参照 2016-4-10)