リーダーシップ現象研究の紹介 その2

先週はリーダーシップ現象研究の1つとして『特性論』を紹介しました(リーダーシップ現象研究 その1『特性論』はこちら:http://learnaboutleadership.com/2016/03/28/traittheory/)今回は『特性論』を打ち破る形で登場した『行動論』にフォーカスし、リーダーシップ現象研究がどのように『行動論』として整理されていったのか、また『行動論』に分類される諸理論が現代のリーダーシップ現象研究とどのようにつながり、影響を与えているのかについて紹介します。

 

 

『行動論』とは?

 1940年代頃から始まったリーダーシップ現象研究で、有効なリーダーに共通して見られる「行動パターン」を元にリーダーシップ現象を定義しようとする理論です。『特性論』とは異なり「リーダーとは作られるものである」という前提を持ち、リーダーとそうでない行動の違いに着目しています。また、リーダーシップとは「行動であり技術である。したがって習得できる」と始めて提唱した研究です。

 

 

『行動論』の代表的な諸理論

 『行動論』について多くの研究者が様々な現象研究を行っています。例えば、シャートルの『オハイオ研究』、レヴィンの『リーダーシップ類型』、リッカートの『マネジメント・システム論』、ブレイク、ムートンの『マネジアル・グリッド論』、三隅二不二の『PM理論』などが挙げられます。これらの多くに共通しているのは、リーダーシップの機能を課題達成(Task)機能と、人間関係(Relation)の2つの機能で説明していることです。今回はブレイク、ムートンの『マネジリアル・グリッド論』と三隅二不二の『PM理論』について詳しく紹介します。

 

マネジリアル・グリッド論』/ブレイク、ムートン

1964年にブレイク(R.R.Blake)とムートン(J.S.Mouton)によって提唱された行動論です。リーダーシップの行動スタイルを「人間に対する関心」「業績に対する関心」という2軸で捉え、それぞれの軸を9段階に分けています。ここに出来る計81の格子(グリッド)をマネジメント・グリッドと称し、典型的なリーダーシップ類型を5つ(1・1型、1・9型、9・1型、9・9型、5・5型)分類しました。ブレイクとムートンは、この類型の中では9・9型が最も理想的なリーダー類型であると主張しています。

 

PM理論』/三隅二不二

1966年に日本の社会心理学者、三隅二不二(みすみ じゅうじ)が提唱した行動論で、リーダーシップは2つの能力要素(「目標達成能力」P:Performanceと「集団維持能力」M:Maintenance)で構成されるという考えです。目標設定や計画立案、メンバーへの指示などにより目標を達成する能力(P)と、メンバー間の人間関係を良好に保ち、集団のまとまりを維持する能力(M)の2つの能力の大小によって、リーダーシップタイプを4つ(PM型、Pm型、pM型、pm型)に分類しました。望ましいリーダーシップタイプは、PとMが共に高い状態(PM型)とされています。

 

 

『行動論』と今

 『行動論』が生まれた背景には、1940年代後半戦後のアメリカにおいて多数のリーダーを発掘・育成する必要が出てきたことにあります。前述したように、多くの研究者が「リーダーとは作られるものである」という前提に立ち、どのような行動が有効なリーダーを作り上げるのかを研究しました。その歴史があったからこそ、今日のようにリーダーシップを研修等で学ぶことができるようになったのだと言われています。

 

 

今回はリーダーシップの変遷から『行動論』を紹介しました。次回はリーダーシップを解明するには行動特性だけでなく、何か別の追加条件が必要なのではないかという考えから生まれた『条件適応論』について紹介します。

 

 

■参考文献、サイト

  • “リーダーシップ行動論/機能・職能論”, INVENIO LEADERSHIP INSIGHT, http://leadershipinsight.jp/dictionary/words/behavioral_theory.html, (参照 2016-3-)
  • “行動理論”, GLOBIS MANEGEMENT SCHOOL,, http://gms.globis.co.jp/dic/00616.php, (参照 2016-3-)
  • “マネジリアル・グリッド論”, INVENIO LEADERSHIP INSIGHT, http://leadershipinsight.jp/dictionary/words/the_managerial_gridmodel.html, (参照 2016-3-)
  • “マネジリアル・グリッド論”, GLOBIS MANEGEMENT SCHOOL, http://gms.globis.co.jp/dic/00320.php, (参照 2016-3-)
  • “PM理論”, INVENIO LEADERSHIP INSIGHT, http://leadershipinsight.jp/dictionary/words/pm_theory_of_leadership.html, (参照 2016-3-)
  • “PM理論”, GLOBIS MANEGEMENT SCHOOL, http://gms.globis.co.jp/dic/01045.php, (参照 2016-3-)

【海外記事】今週のリーダーシップニュース (2016/3/26~4/1)

weeklyleadershipnews

【海外記事】今週のリーダーシップニュースを紹介します。

 

1.「2020年に成功するために必要なスキル」
“10 Critical Skills You’ll Need to Succeed at Work in 2020”
この記事では、近い将来である2020年に必要となる10のスキルを紹介しています。多くの情報から核となる情報を見つける能力や、多文化環境への適応力など、要因となる時代の変化と共にまとめられています。

 

2.「リーダーシップ開発と社会貢献を結びつけることでエンゲージメントは上がる」
“Korn Ferry Hay Group Global Study finds Employee Engagement at Critically Low Levels”
ヘイグループが発表した最新の調査によりますと、7,500企業、107カ国の回答者のうち、87%が、リーダーシップ開発の一貫に、企業が行う社会貢献活動を結びつけると、従業員エンゲージメントが上がると回答しました。更に業務のやる気をあげる要素として、企業規範と、実際の企業文化がマッチしているなどの要素が紹介されています。

 

3.「米紙フォーチュンがトップリーダー50名を発表」
“WORLD’S GREATEST LEADERS”
2016年度のトップリーダー50が発表されました。今年度の一位はジェフ・ベゾスが選ばれ、彼の様々な業界に進出し、磨きのかかったリーダーシップが評価されたと紹介しています。

 

4.「【動画】リーダーシップは他のスキル同様学べるスキルである」
“Simon Sinek: Effective Leadership Is a Learned Skill, Just Like Any Other”
TEDでも話したことのあるサイモン・シネックが多くの人がリーダーシップは肩書と共に発生すると思ってしまいますが、リーダーシップは選択であり、どのような肩書であれ発揮できるスキルだと語っています。

 

5.「【動画】ダニエル・ピンクとのリーダーシップ対談」
“A leadership conversation with @DanielPink & @PeterAceto [VIDEO]”
多くのビジネス本を執筆しているダニエル・ピンクとのリーダーシップ対談です。動画では、将来色褪せないスキルはいわゆるソフトスキルで、自動化しにくい、アウトソースしにくいスキルを養うべきだと述べています。

 

6.「奉仕型リーダー:リーダーが従業員に価値を与えよ」
“Bob Burg: Leaders Must Bring Exceptional Value To Employees”
奉仕型リーダーとは、チームの成功のことを”我々”の成果と捉え、チームの失敗のことを“自分”の失敗と捉える。周りの人に権限を与え、成長を促すリーダーのことだと紹介しています。

 

7.「若い起業家のリーダーシップ発揮方法」
“Young startup leaders lead from the front”
スタートアップでは、従業員がやる気に満ちあふれている事が多く、大企業でよく聞くような悩みが無い一方、業務内容が頻繁に変わり、全従業員に柔軟性が求められます。従業員とともに問題を解決していく意識を持ち、何事もオープンに情報を共有することが大事だと記事で述べています。

今週の【英語】リーダーシップニュースは以上です。

当記事執筆担当:菱山

【国内記事】今週のリーダーシップニュース (2016/3/26~4/1)

weeklyleadershipnews

【国内記事】今週のリーダーシップニュースを紹介します。

 

1.「経営の規律と組織の規律~リーダーシップリスクとは何か」

記事では、聞き慣れない言葉であるリーダーシップリスクが紹介されており、リーダーの間違った方向性や能力不足により発生するリスクが取り上げられています。リーダーシップリスクには、意思決定リスク、キャパシティリスク、ポリティカルリスク、コンプラリスクがあり、それぞれについて詳しく記載されています。

 

2.「3年連続でアマゾンが首位! 最も「高評価の米企業」ランキング」

最も高評価な米企業ランキングでアマゾンが3年連続で首位となりました。項目の中には、リーダーシップも含まれ、これを含む7項目で満点の評価を受けたことが紹介されています。

 

3.「あなたが目標を達成できない根本的な理由」

記事では新年度に向け、新たに目標を掲げた人に目標を実行するためのコツを述べています。目標のメリットを明確にする、達成できる数字目標にする、支援者をつける等環境を整えることが紹介されています。

 

4.「安倍首相:世界経済のかじ取りにリーダーシップ発揮意欲」

G7、伊勢志摩サミットなどに向け、今後日本で行いたい経済政策に加え、世界経済のかじ取りにリーダーシップを発揮していきたい考えを会見で示しました。

 

5.「AKB48・横山由依、漫画『キングダム』からリーダーシップを学ぶ」

記事では、AKB48高橋みなみと同じチームになった横山由依が高橋みなみを支えるリーダーシップを発揮したいと語っています。

 

今週の【国内記事】リーダーシップニュースは以上です。

 

記事執筆担当:菱山